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2017年8月 9日 (水)

笠間から赤城山山麓へ

笠間から赤城山山麓へ
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笠間から赤城山山麓へ
笠間から赤城山山麓へ
笠間から赤城山山麓へ
笠間から赤城山山麓へ


台風一過。晴れ渡ったものの、暑いあつ~いお土産を残していった。盆地の笠間市はより暑い日になった。焼き物通り、ギャラリー通りを歩く観光客は、私たち以外に見当たらない。窯元巡り、そして茨城県陶芸美術館に入り、「実力日本一の陶芸作家を選ぶ」をコンセプトとして実施されている「日本陶芸展」を観賞。入賞作品のクオリテイの高さに圧倒され、それぞれを食い入るようにして観賞した。

午後は群馬県、赤城山山麓に向かった。妻のたっての願いがあったからだ。淡彩詩画家、浅見明子さんにどうしても会いたいというのだ。

飾らず目だたず、何の見返りを求めることなく、密やかに生える野の花に己を重ね、それらを淡い色合いで描き、浅見さんの内から湧く言葉が添えられた淡彩詩画集を、妻は何冊か読んでいたらしい。浅見さんの絵と言葉に魅了されたのだろう。


長いドライブをして、赤城山がでんと構える、その懐に建つ浅見さんのギャラリー「木漏れ日館」に到達。浅見さんは、そば処「ささや」を営む女将でもある。ギャラリーは、古民家風の大きな店の裏手にあった。私たちが着いたのは、昼の繁忙時間が過ぎていたからだろう、浅見さんがギャラリーを案内してくれた。

漆喰壁に掲げられた淡彩画が、目と心に優しく語りかけてきた。

人はどんな時でも「生きよう!」と思えば
力は湧いてくるものです


人は苦労を重ねて
増々人間らしくなってゆくのですね


淡い色調の絵に添えられた言葉の数々は、どれも、そうだよな、うんうん、と頷かされる。

こうした言葉は、もちろん浅見さんの70余年の人生の歩みの中から紡ぎ出されたものだ。

彼女は自身が通り越してきた苦労の一端をさらりと述べ、同時に、ギャラリーを訪れた人たちのエピソードも聞かせてくれた。

ある時、一人寂し気な様子で蕎麦を食べている女性がいた。食事後、ギャラリーに案内すると、女性は食い入るように長い時間絵を見ていた。そして、何も言わずに去ってしまった。妙な女性、と浅見さんは思った。何日かして、その女性が、友達らしき人、数人を連れてギャラリーにやってきた。女性はあの時と打って変わって友達と明るくおしゃべりしている。女性は帰り際に浅見さんに言った。私、赤城山で死のうと思っていたけれど、ここに来てもう一度生きてみよう、って決めたの、と。


また、こんなエピソードも。
一人で来た男性の話である。
彼は、吾亦紅(われもこう)の絵の前に立ち止まり、じっとそれを見ていた。と、突然声を出して泣き出した。浅見さんは何事かと、とても驚いた。落ち着きを取り戻した男性が、謝りながら言うには、最近亡くした父親のことを思い出してしまったのだと。自分は父親にとても辛く当たってきた、今となっては優しい言葉のひとつもかけられない、そんな自分を悔いるのだ、と。


吾亦紅の絵には、こうした言葉が添えられていた。


いっしょにいた時には
見えなかったことも
離れた時
見えることって
あるんだよ
だから 今を大切にね


70を越したとは見えない若々しさ溢れる浅見さんだった。
妻は彼女に抱きつき、お会いできて嬉しかったと、お礼を言った。

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